今回の未来創造堂は「活魚の未来を切り拓いた男」卜部俊郎(ウラベトシロウ)氏。
大分市で大工として生活していた彼は、いけすの施工を頼まれ、「こんな何十年も変わっていない世界がこの世の中にあったのか」という衝撃を覚えたとのこと。
採れた魚は死んだ状態で流通する。これは江戸時代からのやりかたでした。
しかし、魚は死んだ瞬間から腐敗が始まり、特に大分の名産であるサバ(関サバ)は腐敗速度が速い。
大きな水槽を積んだ活魚車で輸送するという方法もありましたが、水槽の大きさに比べて輸送できる魚の量が少なく、ストレスにより身が痩せてしまうという欠点がりました。
このため、新鮮な関サバを届けるのは大阪までが限度、卜部氏は、なんとかして東京に新鮮なサバを届けられないかと考えました。
彼が考えたのは、針で魚を眠らせて運ぶという方法。
大工を辞めて2年に及ぶ研究の結果、その方法を発見しました。
その後も、輸送中の振動で起きてしまわないかなどの実験を繰り返し、ついに魚を眠らせて東京へ空輸することに成功しました。
更に、通常の活魚はさばく時に暴れるため生臭さを招く乳酸が発生するが、眠った魚には乳酸が発生しないという発見もありました。
彼の方法は海外にも進出し、イカなど他の魚介類にも適用されています。
彼の信念、
「誰もやろうとしなかったことにこそ挑戦する価値がある」
おそらく学問的な裏付けが無く、経験,実験だけで魚の「ツボ」を探し当てたわけです。
「誰もやろうとしなかったこと」は「不可能なこと」と「困難ではあるが可能なこと」があると思います。
どちらなのか見極める眼力が必要でしょうね。
----------あらし
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